自分でもこんなに長くつきあうとは思っていなかった。
球を蹴りあい、枠内に入れ、俺はそれを止める。
こんな簡単なもののどこが楽しいんだとたかをくくっていた。

そんな俺の、考えを打ち破ってくれた。


Road on which it looks back




U−19のトレセン試合のある日、場所に不似合いな黒塗りの車がフェンスの向こうにあって、
みんなで誰がきたのかと話をしていた。
試合後に見覚えがある顔を見つけ、俺はその車に近づいた。
いとこの京介が友人を連れて試合を見に来ていたのだ。

「連絡の一つくらい入れればよかろうに」

俺の言葉に何故か京介の友人の小林が申し訳なさそうな顔をする。

「ご・ごめんね、僕が大地君の試合を見たいっていったんだよ…そしたら京介が」
「なにを言っている、ビデオなんか見ずとも今日試合があるのだから…」
「だからって、わざわざ…」

なるほど、そういうことか。

「小林が謝ることではない。それに今日は俺は控えだったのだし…」
「うん、残念だったね。」
「何故試合に出られなかったのだ?」

俺が出ていなかったのが不服だったらしい京介の顔には
『必要ならチームを買い取るぞ?』
と書いてあった。
黒須財閥の社長な奴らしい考えだったが…

「それは不要だ。俺はいまの状況に満足している。
それに、やはり渋沢がゴールを守っているほうが安心できる。」

「あのGK、渋沢と言うのか」
「確かに、あのキーパー上手だったね」
「渋沢というのが正GKということか。ポジションが空いていないのをわかっていて、
何故お前はそこを狙おうとしたのだ?」

京介の問いに、俺はフィールドを見下ろした。

中学のころが走馬灯のように脳裏に浮かぶ。

「…はじめは、成り行きだったのだがな」

なにをやっても、人以上の成果を上げてしまう自分。
それを打ちくだくような根性で引き入れてくれた風祭。
そして、インプットされたGKというポジション。
そこでも楽しさを見出せずにいた自分に楽しさと醍醐味を教えてくれた渋沢。
奴がいたから、いまもサッカーという競技に興味を持ち、GKという場所を守りたいと思える。
そして、彼自身も。

「…共に、切磋琢磨できるやつがいるから、俺はここにいるのだろうな。
それに俺には他のポジションは不向きだと」
「確かにお前にフィールドを駆けろというのは無理がありそうだ」
「だろ?」
「変に納得すんなよ。でも、そうかー、大地くんを変えたのは彼の力が大きいんだね」

「…紹介しようか?」

興味深げに渋沢を見る二人に俺はそう言った。

「えっ!?あ・いや」
「してもらおう」
「京介っ!そんな迷惑だろっ!?」
「何故そんな変なところで気負うのだ?大体直人は…」
「二人ともやめろ。迷惑などではないのだから…おい、渋沢!」

俺はふりかえり、黒川達と談笑している渋沢に声をかけた。
突然声をかけられ、渋沢は一瞬ぎょっとした顔をしたが、
すぐにあのキャプテンスマイルとやらを浮かべこっちへと歩いてくる。
「どうしたんだ?」
「うちのいとことその友人にお前を紹介したい。
これが、うちの正GK,そしてキャプテンの渋沢克朗だ」



俺は変に誇らしさを感じながら、渋沢を指差した。






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2005/5/10 加筆UP


題字 Road on which it looks back=振り返る道
結構そのまんまだったり(笑)

落ちてるんだか微妙ですね(汗
久しぶりの笛小説…しかも、アップもせず、中途半端に放置してたものに加筆なので
自分でもなにがかきたかったんだっけ?と右往左往しながら書きました。

この時点で、不破と渋沢はできてません。
でも、二人の間に流れるただならぬ空気はトレセンメンバー全員がかんじています(爆笑

ちなみにあたし的設定で
渋沢は黒須大学に行ってます(爆笑
だって、24巻のおまけで
渋沢と不破だけ大学に進学ってのをプッシュしてあったから
二人だけ=二人で一緒の学校に
ということかと勝手に深読みをしてみました(爆
そのへんのネタも書いてみたいなあ、なんて思ったりしてます。